EDと男性更年期の関係|テストステロン低下と勃起力を医師が解説|MEN’S KIA CLINIC

EDと男性更年期には関係がある?

「50代になって急に勃起力が落ちてきた」

「EDだけでなく性欲も以前より低下した」

「朝立ちが減り、疲れやすくなった」

このような変化があると、男性更年期を心配する方もいるでしょう。

男性更年期とED(勃起不全)は別の状態ですが、両者には関連があります。

男性更年期では、男性ホルモンであるテストステロンの低下などを背景として、

  • 性欲低下
  • 朝立ちの減少
  • 勃起機能の低下
  • 疲労感
  • 活力低下
  • 気分の変化

などが現れることがあります。

ただし、EDの原因はテストステロンだけではありません。

血管、糖尿病、高血圧、神経、服用薬、睡眠、ストレスなど、複数の要因を考える必要があります。


男性更年期とは?

一般に「男性更年期」と呼ばれる状態の一部には、**LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)**があります。

加齢などに伴う男性ホルモンの変化と関連し、身体・性機能・精神面などにさまざまな症状が現れます。

女性の閉経のように、すべての男性に一定の年齢で急激な変化が起こるわけではありません。

症状やホルモン値には個人差があります。


男性更年期でみられる主な症状

男性更年期では性機能だけでなく、さまざまな症状がみられることがあります。

性機能に関する症状

  • 性欲低下
  • 朝立ちの減少
  • 勃起力低下
  • ED
  • 性的な関心の低下

身体症状

  • 疲れやすい
  • 筋力低下
  • 体脂肪増加
  • 発汗
  • ほてり
  • 睡眠の問題

精神・心理症状

  • 意欲低下
  • 集中力低下
  • イライラ
  • 不安
  • 気分の落ち込み

これらは男性更年期だけに特有の症状ではありません。

睡眠障害、うつ病、甲状腺疾患、糖尿病、薬剤など別の原因でも起こるため、症状だけで男性更年期と自己判断しないことが重要です。

朝立ちの減少が目立つ場合は、睡眠や血管・神経機能など他の要因も含めて確認します。


テストステロンとは?

テストステロンは代表的な男性ホルモンです。

主に精巣で作られ、

  • 性欲
  • 性機能
  • 筋肉
  • 赤血球
  • 気分
  • 活力

など、男性のさまざまな機能に関係しています。

性機能についても重要ですが、テストステロン=勃起を直接起こすホルモンと単純に考えることはできません。

高血圧や糖尿病など血管・代謝要因が同時に存在することもあります。

勃起には、

性的刺激 → 神経 → 血管拡張 → 陰茎海綿体への血液流入

という一連の反応が必要です。

テストステロンは特に性欲や性的反応を維持するうえで重要な役割を持っています。


男性更年期でEDが起こる仕組み

テストステロンが低下すると、複数の経路から性機能へ影響する可能性があります。

テストステロン低下

性欲・性的関心の低下

性的刺激に対する反応が低下

勃起反応が弱くなる

さらに、

テストステロン低下

体脂肪増加・筋力低下・活力低下

運動量低下・代謝悪化

血管機能への影響

EDのリスク上昇

という関係も考えられます。

EDでは一つの経路だけではなく、複数の要因が重なっていることがあります。


男性更年期によるテストステロン低下が性欲や勃起機能へ影響する仕組み

男性更年期のEDに特徴はある?

症状だけで男性更年期によるEDと断定することはできません。

ただし、

EDだけでなく性欲や全身状態にも変化があるか

は重要なポイントです。

例えば、

  • EDがある
  • 性欲も低下した
  • 朝立ちが減った
  • 疲れやすくなった
  • 活力が落ちた
  • 筋力が低下した

といった症状が重なる場合には、テストステロンを含めた評価を検討します。

一方、

「性欲は十分あるのに陰茎が硬くならない」

という場合には、血管など別の原因がより強く関係している可能性もあります。


EDと男性更年期の違い

両者は同じ病気ではありません。

項目ED男性更年期・LOH
主な問題勃起を得る・維持する能力ホルモン変化に関連する多様な症状
勃起力低下あり起こることがある
性欲低下必須ではない起こることがある
朝立ち減少起こることがある起こることがある
疲労・活力低下原因によりみられる比較的みられやすい
気分の変化心因性EDなどで関連起こることがある
主な評価ED症状・原因・IIEF-5など症状+ホルモン評価など

つまり、

EDがある=男性更年期

ではなく、

男性更年期の症状の一つとしてEDが現れることがある

と考えると分かりやすいでしょう。


EDと男性更年期を考える性欲低下・朝立ち減少・疲労・活力低下などの症状

朝立ちが減ったら男性更年期?

朝立ちの減少は男性更年期でみられることがありますが、それだけで判断することはできません。

朝立ちは、

  • 睡眠
  • 神経
  • 血管
  • ホルモン
  • 年齢

などさまざまな要因の影響を受けます。

睡眠不足や睡眠時無呼吸などでも朝立ちが減少する可能性があります。

「朝立ちがなくなった=テストステロン低下」とは限りません。


性欲低下とEDは同じ?

違います。

性欲低下

→ 性的な関心や欲求そのものが低下している状態

ED

→ 性的刺激があっても十分な勃起を得られない、または維持できない状態

です。

そのため、

「性欲はあるけれど勃起しない」

というEDもあれば、

「性欲そのものが低下し、勃起する機会も減った」

という状態もあります。

男性更年期を考える際には、この違いが重要です。


男性更年期は何歳から?

「40歳になったら男性更年期」「50歳になったら男性更年期」という明確な境界線があるわけではありません。

テストステロン値や症状には個人差があります。

そのため、年齢だけではなく、

症状+ホルモン値+全身状態

を総合的に評価します。


男性更年期・EDではどのような検査をする?

症状に応じて、

  • 問診
  • EDの状態
  • IIEF-5
  • 性欲
  • 朝立ち
  • 既往歴
  • 服用薬
  • 血圧
  • 血糖
  • 脂質
  • テストステロン

などを確認します。

男性更年期が疑われる場合には、血液検査による男性ホルモンの評価が重要です。

ホルモン値は採血時間などの影響を受けるため、適切な条件で評価します。


EDと性欲低下や朝立ち減少から男性更年期を確認する流れ

男性更年期に伴うEDは改善できる?

原因によっては改善が期待できます。

重要なのは、

「EDだからED薬だけ」

「男性更年期だからテストステロンだけ」

と単純化しないことです。

例えば、EDに、

  • テストステロン低下
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 肥満
  • 睡眠不足
  • 喫煙
  • ストレス

などが重なっている場合、それぞれへの対応が必要になります。


生活習慣の改善

男性更年期やEDでは生活習慣も重要です。

特に、

  • 定期的な運動
  • 適正体重の維持
  • 十分な睡眠
  • 禁煙
  • 過度の飲酒を避ける
  • 糖尿病・高血圧などの管理

を意識します。

運動は血管機能や体重管理だけでなく、全身の健康維持にも重要です。


テストステロン補充療法

男性更年期症状があり、適切な評価によってテストステロン低下が確認された場合には、テストステロン補充療法が検討されることがあります。

ただし、

EDがあるという理由だけでテストステロンを補充するわけではありません。

治療前には症状や検査結果を確認し、治療中も必要な経過観察を行います。

また、EDの主な原因が高度な血管障害や神経障害などの場合、テストステロン治療だけでは十分に改善しないことがあります。


PDE5阻害薬によるED治療

EDに対しては、

  • シルデナフィル
  • タダラフィル
  • バルデナフィル

などのPDE5阻害薬が使用されます。

性的刺激に伴う陰茎への血流増加を補助する治療です。

ただし、男性更年期に伴って性欲そのものが大きく低下している場合には、ED薬だけでは患者さんが期待する改善が得られないこともあります。

そのため、性欲と勃起機能を分けて評価することが重要です。


ED薬を飲んでも効かない場合

適切にED治療薬を使用しても効果が弱い場合には、

  • 服用方法
  • 用量
  • 食事
  • 性的刺激

だけでなく、

  • 糖尿病
  • 血流障害
  • 神経障害
  • 男性ホルモン
  • 心理的要因

などを再評価します。

単純に薬を強くするのではなく、「なぜ効きにくいのか」を確認することが重要です。

ED症状に対する治療は、ホルモン評価とは別に複数の選択肢があります。


陰茎ボトックスという治療選択

EDに対する治療選択肢の一つとして、陰茎へボツリヌストキシンを注入する陰茎ボトックスがあります。

陰茎海綿体の平滑筋へ作用させ、陰茎への血液流入を促しやすい状態を目指す治療です。

特に、既存のED治療で十分な改善が得られない場合などに検討されることがあります。

一方、男性更年期による性欲低下そのものを治療する方法ではありません。

そのため、

性欲が低いのか

勃起反応が弱いのか

勃起はするが維持できないのか

を区別したうえで治療を選択することが重要です。


男性更年期によるEDは何科?

EDについては、

泌尿器科

または

男性専門・ED専門クリニック

などで相談できます。

男性更年期が疑われる場合には、テストステロンを含めた評価が可能な医療機関を選ぶとよいでしょう。

また、糖尿病、高血圧、心血管疾患などがある場合には、内科などとの連携が必要になる場合があります。


こんな場合は一度相談を

次のような変化が続く場合には、一度医療機関へ相談することを検討してください。

  • ED・中折れが増えた
  • 性欲も低下した
  • 朝立ちが明らかに減った
  • 疲労感が強くなった
  • 活力が低下した
  • ED治療薬の効果が弱くなった
  • 糖尿病・高血圧がある
  • 性生活に支障が出ている

「年齢のせい」と決めつけず、原因を確認することが重要です。


よくある質問

Q1.男性更年期になるとEDになりますか?

男性更年期に伴うテストステロン低下などがEDに関係することはあります。

ただし、すべての男性更年期の方がEDになるわけではありません。

Q2.テストステロンが低いと勃起しなくなりますか?

テストステロン低下は性欲や勃起機能に影響する可能性がありますが、勃起には血管や神経なども関係します。

テストステロンだけでEDの有無を判断することはできません。

Q3.性欲低下とEDは同じですか?

違います。

性欲低下は性的欲求の低下、EDは十分な勃起を得る・維持することが難しい状態です。

両方が同時に起こることもあります。

Q4.朝立ちがなくなったら男性更年期ですか?

朝立ちの減少だけでは判断できません。

睡眠、血管、神経、ホルモン、年齢など複数の要因が関係します。

Q5.男性更年期は血液検査でわかりますか?

テストステロンなどの血液検査は重要ですが、血液検査だけでなく症状や全身状態を合わせて評価します。

Q6.テストステロンを補充すればEDは治りますか?

すべてのEDが改善するわけではありません。

テストステロン低下が関係している場合には治療選択肢となりますが、血管障害や神経障害など他の原因がある場合には別の治療が必要になることがあります。

Q7.ED薬とテストステロン治療は同じですか?

異なります。

PDE5阻害薬は勃起反応を補助する薬で、テストステロン補充療法は男性ホルモン低下に対して行われる治療です。

Q8.50代で勃起力が落ちたら男性更年期ですか?

年齢だけでは判断できません。

50代では血管機能、糖尿病、高血圧、ホルモン、服用薬、睡眠など複数の要因を確認することが重要です。

Q9.男性更年期のEDでも陰茎ボトックスを受けられますか?

EDの原因や症状、これまでの治療への反応などを評価して治療方法を検討します。

性欲低下が中心の場合と、十分な性的刺激があっても勃起反応が弱い場合では、治療方針が異なります。


まとめ|EDと男性更年期は「性欲」と「勃起力」を分けて考える

男性更年期とEDには関連があります。

テストステロンが低下すると、

性欲低下

朝立ちの減少

勃起機能の低下

などがみられることがあります。

しかし、EDの原因は男性ホルモンだけではありません。

糖尿病、高血圧、動脈硬化、神経障害、睡眠、心理的要因、服用薬などが関係している場合があります。

特に重要なのは、

「性欲そのものが低下しているのか」

それとも、

「性欲はあるのに十分に勃起しないのか」

を区別することです。

EDに加えて性欲低下、朝立ち減少、疲労感、活力低下などが続く場合には、男性更年期を含めた原因評価を検討するとよいでしょう。


監修医プロフィール

雲山 盛秀 医師

MEN’S KIA CLINIC

診療領域

  • 男性治療
  • 美容外科
  • 美容皮膚科

資格・経歴

  • 医師
  • 脳神経外科領域での診療経験
  • 男性治療経験20年以上
  • 施術経験2万件以上(全施術累計)

ED、早漏、感度など男性特有の悩みに対し、症状、生活習慣、既往歴、治療歴などを確認し、一人ひとりに合わせた治療方針を提案しています。


参考文献

  1. 日本泌尿器科学会/日本メンズヘルス医学会.LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)診療の手引き.
  2. 日本性機能学会・日本泌尿器科学会 編.男性性機能障害診療ガイドライン.
  3. European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Male Hypogonadism.
  4. European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Management of Erectile Dysfunction.
  5. Bhasin S, Brito JP, Cunningham GR, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(5):1715-1744.
  6. Mulhall JP, Trost LW, Brannigan RE, et al. Evaluation and Management of Testosterone Deficiency: AUA Guideline. J Urol. 2018;200(2):423-432.

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