EDは運動で改善する?効果が期待できる運動・頻度を医師が解説|MEN’S KIA CLINIC

EDは運動で改善する?

結論からいうと、EDは継続的な運動によって改善が期待できる場合があります

特に、運動不足、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、心血管系の危険因子などが関係するEDでは、有酸素運動によって血管機能や全身の代謝が改善し、勃起機能にもよい影響が現れる可能性があります。

複数のランダム化比較試験をまとめた研究では、有酸素運動を行った男性は、運動を行わなかった男性と比べて勃起機能スコアが改善しました。また、運動による改善幅は、もともとのEDが重い男性ほど大きい傾向が示されています。

一方で、運動だけですべてのEDが改善するわけではありません。

糖尿病による高度な神経障害、前立腺がん手術後の神経損傷、重度の動脈硬化、薬剤性ED、強い心因性EDなどでは、運動に加えて医学的な治療が必要になることがあります。


この記事の要点

  • 有酸素運動は一部のED改善に有効と考えられている
  • 特に運動不足、肥満、高血圧、メタボに関連するEDで効果が期待しやすい
  • ウォーキング、サイクリング、水泳などが取り入れやすい
  • 目安は週150~160分程度の中等度以上の有酸素運動
  • 筋力トレーニングは補助的に取り入れる
  • 骨盤底筋トレーニングが有効な場合もある
  • 運動だけで改善しない場合は原因評価が必要
  • 胸痛や強い息切れがある場合は、運動開始前に医師へ相談する

なぜ運動でEDが改善するのか

勃起は、陰茎海綿体へ十分な血液が流れ込み、その血液が陰茎内に保たれることで起こります。

そのため、勃起機能には次の要素が重要です。

  • 血管が適切に広がること
  • 心臓から十分な血液が送られること
  • 神経の信号が正常に伝わること
  • 血糖や血圧が適切に管理されていること
  • テストステロンなどのホルモン環境
  • 過度な緊張やストレスがないこと

運動は、これらのうち特に血管機能、体重、血圧、血糖、ストレスへ作用します。


1.血管内皮機能を改善する

勃起時には、血管内皮などから一酸化窒素が放出され、陰茎海綿体の平滑筋が緩みます。

すると陰茎の動脈が広がり、海綿体へ血液が流れ込みやすくなります。

運動不足、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙などによって血管内皮機能が低下すると、この血管拡張反応が弱くなります。

継続的な有酸素運動は血管内皮機能を整え、全身の血流を改善する可能性があります。

AUAガイドラインでも、食事改善や身体活動の増加を含む生活習慣の見直しは、全身の健康を改善し、勃起機能も改善する可能性があるとされています。


2.体重と内臓脂肪を減らす

肥満、特に内臓脂肪の増加は、EDと関係します。

内臓脂肪が増えると、次の問題が起こりやすくなります。

  • 高血圧
  • インスリン抵抗性
  • 高血糖
  • 脂質異常症
  • 慢性的な炎症
  • 睡眠時無呼吸
  • テストステロン低下

肥満のあるED患者を対象としたランダム化比較試験では、食事と運動を組み合わせた生活習慣介入によって、約3分の1の男性で正常な勃起機能が回復しました。

ただし、これは「運動だけで全員が治る」という意味ではありません。体重減少、食事、運動、生活習慣全体の改善による結果です。


3.血圧・血糖・脂質を改善する

高血圧、糖尿病、脂質異常症は、EDと共通して血管内皮障害や動脈硬化に関係します。

運動を続けることで、次の改善が期待できます。

  • 血圧の低下
  • インスリン感受性の改善
  • 血糖コントロール
  • 中性脂肪の低下
  • HDLコレステロールの改善
  • 体重・腹囲の減少

これらが改善すると、陰茎へ血液を送る血管にもよい影響を与える可能性があります。


4.ストレスを軽減する

EDには心理的要因も関係します。

強いストレスや「また失敗するのではないか」という不安があると、交感神経が優位になり、勃起しにくくなる場合があります。

運動には、気分転換、睡眠の改善、ストレス軽減などの効果も期待できます。

特に、軽度の心因性EDと運動不足が重なっている場合は、定期的に体を動かすことが自信の回復につながることもあります。


5.体力と性生活への自信を高める

運動によって心肺機能、筋力、持久力が改善すると、性交時の疲労や息切れが軽減する可能性があります。

また、

  • 体重が減る
  • 体型が変わる
  • 疲れにくくなる
  • 睡眠が改善する

といった変化が、性生活への自信につながることもあります。


図解1:運動がED改善につながる仕組み

運動によって血管機能が改善しEDの改善につながる仕組み

ED改善に向いている運動

1.ウォーキング

最も始めやすいのがウォーキングです。

特別な器具が必要なく、年齢や体力に応じて強度を調整できます。

ゆっくり歩くだけでなく、少し息が弾む程度の速歩を取り入れると、有酸素運動としての効果が高まりやすくなります。

目安

  • 1回20~40分
  • 週4~5回
  • 会話はできるが少し息が弾む強度

運動習慣がない方は、1回10分から始めても構いません。


2.サイクリング

サイクリングも有酸素運動として有効です。

ただし、長時間の自転車走行では、サドルによる会陰部の圧迫が問題になる場合があります。

次の点に注意してください。

  • 自分に合ったサドルを選ぶ
  • サドルの高さを調整する
  • 長時間連続で乗らない
  • 定期的に立ち上がる
  • 会陰部のしびれや痛みがあれば中止する

一般的な短時間のサイクリングが直ちにEDを引き起こすわけではありませんが、長時間の圧迫には注意が必要です。


3.水泳

水泳は膝や腰への負担が比較的少なく、肥満や関節痛のある方にも取り入れやすい運動です。

泳ぐことが難しい場合は、水中ウォーキングでも構いません。


4.軽いジョギング

ある程度の運動習慣がある方は、軽いジョギングも選択肢です。

ただし、胸痛、息切れ、膝痛などがある場合は無理をしないでください。

運動を久しぶりに始める方は、ウォーキングから開始する方が安全です。


5.筋力トレーニング

筋力トレーニングは、筋肉量や基礎代謝を維持し、肥満予防や体力向上に役立ちます。

おすすめの種目は次のとおりです。

  • スクワット
  • 椅子からの立ち上がり
  • かかと上げ
  • 軽い腕立て伏せ
  • ゴムバンドを使った運動

ただし、筋トレ単独のED改善効果は、有酸素運動ほど明確ではありません。

ED改善を目的とする場合は、有酸素運動を中心に、筋力トレーニングを補助的に組み合わせる方法が現実的です。


6.骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋は、勃起の維持や射精に関係する筋肉群です。

骨盤底筋を適切に鍛えることで、勃起時の血液の流出を抑える働きを補助できる可能性があります。

基本的な方法

  1. 尿やガスを我慢するときに使う筋肉を意識する
  2. その筋肉を3~5秒締める
  3. 3~5秒緩める
  4. 10回程度繰り返す
  5. 1日2~3セット行う

排尿中に尿を止める動作は、筋肉の確認目的に一度行う程度にし、日常的なトレーニングとして繰り返さないでください。

腹筋、臀部、太ももへ過度に力が入らないようにします。

骨盤底筋の使い方が分からない場合は、医師や理学療法士の指導を受ける方法もあります。


どれくらい運動すればよい?

運動介入研究をまとめたレビューでは、ED改善を目的とする運動として、中等度から高強度の有酸素運動を1回約40分、週4回、合計週160分程度、約6か月継続する方法が提案されています。

ただし、すべての方が最初からこの量を行う必要はありません。

運動習慣がない方が急に強い運動を始めると、けがや心血管イベントのリスクがあります。

初心者向けの開始例

1~2週目

  • 10~15分のウォーキング
  • 週3回

3~4週目

  • 20~30分のウォーキング
  • 週3~4回

2か月目以降

  • 30~40分の速歩
  • 週4回程度
  • 週2回の軽い筋力トレーニングを追加

体力、年齢、持病に応じて調整してください。


運動強度の目安

中等度の運動とは、一般に次のような強度です。

  • 少し息が弾む
  • 汗ばむ
  • 会話はできる
  • 歌うのは難しい

強度が低すぎると効果が得られにくいことがありますが、強すぎる運動を行う必要はありません。

継続できる強度が最も重要です。


図解2:ED改善を目指す運動の目安

運動で改善しやすいED

運動による改善が期待しやすいのは、次のようなケースです。

  • 運動不足がある
  • 肥満や内臓脂肪がある
  • 軽度から中等度のED
  • 高血圧がある
  • メタボリックシンドロームがある
  • 体力低下がある
  • 喫煙や睡眠不足など生活習慣が乱れている
  • 心血管リスク因子を複数持っている

有酸素運動の研究では、身体活動不足、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、心血管疾患に関連するEDで改善が期待されています。

高血圧や血糖異常など血管リスクがある場合は、運動と同時に基礎疾患の管理が重要です。


運動だけでは改善しにくいED

次のような場合は、運動だけでは十分な改善が得られないことがあります。

糖尿病性神経障害

長期間の糖尿病により神経障害が進行している場合、運動だけで神経機能が回復するとは限りません。

前立腺がん手術後

前立腺全摘除術などで勃起神経が影響を受けている場合、ED治療薬や陰圧式勃起補助具などの治療が必要になることがあります。

重度の動脈硬化

陰茎への血流障害が高度な場合は、生活習慣改善だけでは不十分なことがあります。

男性ホルモン低下

テストステロン低下がある場合は、原因評価と適応に応じた治療が必要です。

薬剤性ED

一部の降圧薬、抗うつ薬、向精神薬などが関係する場合は、処方医との相談が必要です。

強い心因性ED

性交への強い恐怖や不安、パートナーとの関係などが中心の場合は、心理的サポートやED治療薬を組み合わせることがあります。


運動と陰茎ボトックス治療は併用できる?

多くの場合、運動と陰茎ボトックス治療は併用できます。

むしろ、

  • 運動で血管・代謝を改善する
  • 陰茎ボトックス治療で性交時の勃起を補助する

という組み合わせが現実的です。

また当院では、胸痛や不安定な心疾患がある場合はED治療薬や運動を始める前に循環器系の評価が必要ですのでPDE5阻害薬等の副作用の観点から、ED治療薬をお勧めしていません。


運動を始める前に医師へ相談すべき人

次に該当する場合は、自己判断で強い運動を始めず、医師へ相談してください。

  • 階段や運動時に胸が痛む
  • 軽い運動で強く息切れする
  • 心筋梗塞や狭心症の既往がある
  • 心不全がある
  • 血圧が著しく高い
  • 不整脈がある
  • 糖尿病の合併症がある
  • 重度の腎機能障害がある
  • 医師から運動を制限されている
  • 関節・腰の痛みが強い
  • 長期間ほとんど運動していない

特に性行為自体も一定の身体負荷を伴うため、運動時の胸痛や息切れがある場合は、EDよりも先に心血管状態を確認することが重要です。


運動してもEDが改善しない場合

運動を数か月続けても改善しない場合は、次の原因を確認します。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • テストステロン低下
  • 睡眠時無呼吸
  • 喫煙
  • 服用薬
  • 心因性ED
  • 前立腺・骨盤内手術歴
  • 神経障害

運動の効果がないからといって、治療できないわけではありません。

ボツリヌス療法、心理的支援、原因疾患の治療などを検討します。

禁煙、体重、睡眠、飲酒なども含めて生活習慣全体を見直します。

症状が続く場合は『運動不足だけが原因』と決めつけず、医療機関で原因を評価します。


MEN’S KIA CLINICのED診療

MEN’S KIA CLINICでは、EDを単に運動不足だけの問題と判断せず、血管、生活習慣病、ホルモン、服用薬、心理状態などを総合的に確認します。

診察では、必要に応じて次の項目を評価します。

  • IIEF-5
  • 勃起の硬さと持続
  • 中折れ
  • 朝立ち
  • 運動習慣
  • 体重・腹囲
  • 血圧
  • 血糖・HbA1c
  • 脂質
  • テストステロン
  • 服用薬
  • 心血管症状

「運動だけで改善できるか知りたい」

「ウォーキングを続けても変化がない」

「ED治療薬と運動を併用したい」

「心臓や血圧に問題があるが運動してよいか知りたい」

このような相談も可能です。

治療効果には個人差があります。診察のうえ、原因と身体状態に応じた治療方針をご提案します。


よくある質問

Q1.ウォーキングでEDは改善しますか?

運動不足、肥満、高血圧、メタボリックシンドロームなどが関係する軽度から中等度のEDでは、継続的なウォーキングによって改善する可能性があります。

ただし、すべてのEDがウォーキングだけで改善するわけではありません。

Q2.どれくらい歩けばよいですか?

目安として、1回30~40分、週4回程度の速歩が考えられます。

運動習慣がない方は、10~15分から始めて徐々に増やしてください。

Q3.筋トレだけでもEDは改善しますか?

筋トレは体力、体重管理、筋肉量の維持には有効ですが、ED改善については有酸素運動の方が研究データが多くあります。

有酸素運動と筋トレを組み合わせる方法がおすすめです。

Q4.スクワットで勃起力は上がりますか?

スクワットは下半身の筋力や活動量を高めるために役立ちますが、スクワットだけでEDが治るとはいえません。

ウォーキングなどの有酸素運動と組み合わせてください。

Q5.骨盤底筋トレーニングは有効ですか?

勃起の維持に関係する筋肉を鍛えるため、一部のEDで改善が期待できます。

ただし、血管障害や神経障害が強い場合は、骨盤底筋トレーニングだけでは不十分です。

Q6.運動の効果はいつ現れますか?

数週間で体調の変化を感じる方もいますが、勃起機能への効果を評価するには3~6か月程度の継続が必要になることがあります。

Q7.激しい運動ほど効果がありますか?

強ければ強いほどよいわけではありません。

けがや心血管への負担を避けるため、中等度の運動を無理なく継続することが重要です。

Q8.ED治療薬を使いながら運動できますか?

多くの場合は可能です。

ただし、心疾患、低血圧、硝酸薬の使用などがある場合は、医師へ相談してください。

Q9.運動しても改善しない場合はどうすればよいですか?

糖尿病、ホルモン低下、神経障害、薬剤、心理的要因などが関係している可能性があります。

医療機関で原因を評価してください。

Q10.運動中に胸が痛くなった場合はどうすればよいですか?

直ちに運動を中止し、胸痛が続く場合や強い息切れ、冷汗、吐き気などがある場合は、救急受診を検討してください。


まとめ

EDは、継続的な運動によって改善が期待できる場合があります。

特に効果が期待しやすいのは、次のようなEDです。

  • 運動不足
  • 肥満
  • 高血圧
  • メタボリックシンドローム
  • 軽度から中等度の血管性ED
  • ストレスや体力低下が関係するED

運動の中心はウォーキングなどの有酸素運動です。

目安としては、1回30~40分、週4回程度を無理なく継続します。

ただし、糖尿病性神経障害、前立腺手術後、重度の動脈硬化、男性ホルモン低下などでは、運動だけで十分に改善しないことがあります。

運動を数か月続けても変化がない場合や、胸痛、強い息切れ、生活習慣病がある場合は、医療機関で原因と安全性を確認してください。


監修医プロフィール

雲山 盛秀 医師

MEN’S KIA CLINIC

診療領域

  • 男性治療
  • 美容外科
  • 美容皮膚科

保有資格・経歴

  • 医師
  • 脳神経外科領域での診療経験
  • 男性治療経験20年以上
  • 施術経験2万件以上

脳神経外科領域で培った解剖学・神経学的知識と、20年以上にわたる男性治療経験をもとに診療を行っています。

ED、早漏、感度の悩みなど、男性特有の相談に対して、症状や背景を確認し、一人ひとりに合わせた治療方針を提案しています。


引用・参考文献

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  2. Gerbild H, et al. Physical Activity to Improve Erectile Function: A Systematic Review of Intervention Studies. Sex Med. 2018.
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