若年性EDとは?
「まだ20代なのに性交のときに勃たない」
「自慰では問題ないのに、パートナーとの性交では中折れする」
「一度失敗してから、次の性交でも勃起できるか不安になる」
ED(勃起不全)は中高年だけに起こるものではありません。
20代・30代などの若い男性でも、十分な勃起を得られない、硬さを維持できない、中折れするといった症状が起こることがあります。
一般に、このような若い年代でみられるEDを**「若年性ED」**と呼ぶことがあります。
ただし、若年性EDという独立した病気があるわけではなく、若い年代に生じたEDを表す一般的な呼び方です。
若年者では性交への緊張やストレスなど心理的要因が関係することがありますが、
- 睡眠不足
- 運動不足
- 肥満
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 糖尿病
- ホルモン
- 神経
- 服用薬
など身体的な原因が隠れている場合もあります。
「若いから身体には問題がない」と決めつけず、症状が続く場合には原因を確認することが重要です。
EDは「まったく勃たない」だけではない
EDとは、満足な性行為を行うために十分な勃起を得られない、または維持できない状態です。
そのため、
- 性的刺激があっても勃起しない
- 勃起まで時間がかかる
- 硬さが足りない
- 挿入前に萎える
- 挿入できても途中で萎える
- コンドームを装着すると萎える
- 日によって勃起できない
- 性交終了まで硬さを維持できない
といった状態もEDに含まれる可能性があります。
特に若い方では「最初は勃起するけれど中折れする」というケースもみられます。
若年性EDで多い原因
若年性EDでは一つの原因だけでなく、複数の要因が重なっている場合があります。
1.性交への緊張・プレッシャー
若い男性のEDで重要な要因の一つです。
例えば、
- 初めての性交
- 新しいパートナー
- 「満足させなければ」というプレッシャー
- 妊活
- コンドーム装着への焦り
- 性交経験が少ない
などによって緊張が強くなることがあります。
勃起には副交感神経の働きが重要ですが、強い緊張状態では交感神経が優位になります。
その結果、陰茎の平滑筋や血管の反応に影響し、勃起しにくくなることがあります。
性交への緊張や予期不安については、ストレスとEDの関係で詳しく解説しています。
→関連記事:EDとストレスの関係
2.一度の失敗から始まる「予期不安」
若年性EDでは、
一度の中折れ
↓
「次も失敗するかもしれない」
↓
性交前から勃起を確認する
↓
緊張する
↓
交感神経が優位になる
↓
勃起しにくくなる
↓
再び失敗する
という悪循環が起こることがあります。
これを予期不安といいます。
本来は身体的な勃起機能に大きな問題がなくても、「勃起できるかどうか」を意識しすぎることで性交時の勃起が難しくなることがあります。

3.仕事・人間関係のストレス
EDに関係する心理的要因は性交そのものだけではありません。
- 仕事
- 人間関係
- 経済的不安
- パートナーとの関係
- 育児
- 妊活
などによる慢性的なストレスも性機能へ影響することがあります。
ストレスが続くと、自律神経や睡眠にも影響し、EDにつながる可能性があります。
4.睡眠不足
若い年代では仕事、夜勤、ゲーム、スマートフォンなどによって睡眠時間が不規則になりやすい傾向があります。
睡眠不足は、
疲労
ストレス
自律神経
ホルモン
などを介して性機能へ影響する可能性があります。
いびき、睡眠中の無呼吸、強い日中の眠気がある場合には、睡眠時無呼吸症候群についても確認が必要です。
5.運動不足・肥満
若年者でも運動不足や肥満はEDと無関係ではありません。
勃起には陰茎への十分な血液流入が必要なため、血管の健康状態は重要です。
特に、
- 肥満
- 高血圧
- 高血糖
- 脂質異常症
などがある場合には、若くても血管・代謝系の要因を確認します。
6.喫煙・過度の飲酒
喫煙は血管機能へ影響し、EDのリスク因子になります。
また、少量の飲酒で緊張が和らぐ人もいますが、大量に飲酒すると神経機能などに影響し、かえって勃起しにくくなる場合があります。
「緊張するから毎回お酒を飲んでから性交する」という習慣にも注意が必要です。
7.糖尿病・高血圧など
「20代・30代だから生活習慣病は関係ない」とは限りません。
糖尿病では、
血管障害
と
神経障害
の両方からEDにつながることがあります。
また、高血圧や脂質異常症などによる血管機能への影響も考えます。
若年性EDが、これまで気づかなかった健康上の問題を確認するきっかけになる場合もあります。
8.男性ホルモン
テストステロンなど男性ホルモンの問題が性欲や勃起機能へ影響することがあります。
特にEDだけでなく、
- 性欲が低下した
- 朝立ちが減った
- 疲れやすい
- 活力が低下した
などがある場合には、必要に応じてホルモンを含めた評価を行います。
9.服用している薬
一部の薬剤は性機能へ影響することがあります。
例えば、一部の
- 降圧薬
- 抗うつ薬
- 向精神薬
- ホルモンに影響する薬剤
などです。
ただし、EDが気になるからといって処方薬を自己判断で中止してはいけません。
処方医へ相談してください。

自慰では勃つのに性交では勃たないのはなぜ?
若年性EDでよくある相談です。
自慰では十分に勃起でき、朝立ちもあるにもかかわらず、
パートナーとの性交になると勃起できない
という場合があります。
この場合、性交への緊張や予期不安など心理的要因が関係している可能性があります。
自慰では、
- 自分のペースで刺激できる
- 失敗への不安がない
- パートナーを意識しない
- 勃起を評価される心配がない
ため、性交よりリラックスしやすいことも理由の一つです。
ただし、「自慰で勃起できる=身体的な原因は絶対にない」とまでは判断できません。
症状が続く場合には総合的な評価が必要です。
朝立ちがあれば心因性ED?
朝立ちが保たれていることは、勃起に関係する血管・神経機能がある程度保たれている可能性を考える材料になります。
特に、
朝立ちはある
自慰では勃起する
性交時だけ勃起しない
という場合には心理的要因の関与を考えます。
しかし、朝立ちの有無だけで心因性EDと診断することはできません。
強すぎる自慰刺激は関係する?
「自慰のしすぎでEDになる」という単純な関係が確立しているわけではありません。
ただし、自慰と性交で刺激の方法が大きく異なる場合、
「自慰では十分な刺激を得られるが、性交では刺激を感じにくい」
ということがあります。
例えば非常に強い握力や特定の刺激方法に慣れている場合には、刺激方法を見直すことも選択肢です。
自慰そのものを悪い習慣と考える必要はありません。
ポルノを見るとEDになる?
ポルノ視聴だけを若年性EDの原因と断定することはできません。
一方で、性的刺激のパターンや心理状態、自慰習慣などが実際の性交時の性的反応と関連しているケースもあります。
重要なのは「ポルノを見ているか」だけではなく、
- 自慰では勃起できるか
- パートナーとの性交ではどうか
- 性欲はあるか
- 朝立ちはあるか
- いつから症状が始まったか
を確認することです。
若年性EDのセルフチェック
次の項目を確認してみましょう。
□ 性交時に十分な硬さにならない
□ 挿入前に萎える
□ 性交途中で中折れする
□ 「次も失敗する」と考えてしまう
□ 自慰では問題なく勃起できる
□ 朝立ちはある
□ 最近ストレスが強い
□ 睡眠不足が続いている
□ 性欲自体が低下している
□ EDが数週間~数か月続いている
複数当てはまるからといって、セルフチェックだけでEDの原因を判断することはできません。
EDの客観的な評価にはIIEF-5などの質問票も利用されています。
硬さ・維持・中折れ・朝立ちを整理したい場合はEDセルフチェックを活用してください。
→関連記事:EDセルフチェック
若年性EDは自然に治る?
原因によって異なります。
一時的な、
- 疲労
- 睡眠不足
- ストレス
- 過度の飲酒
などが原因であれば、原因が改善することで勃起機能が戻る可能性があります。
一方、予期不安では、
「そのうち治るだろう」
と思っていても、性交を繰り返すたびに失敗への不安が強くなり、悪循環が続く場合があります。
また、糖尿病、血管障害、ホルモン異常などが背景にある場合には、原因への対応が必要です。
若年性EDを改善するためにできること
まず生活面では、
- 十分な睡眠
- 定期的な運動
- 禁煙
- 過度の飲酒を避ける
- 体重管理
- ストレス対策
などを見直します。
性交への不安が強い場合には、「絶対に勃起しなければならない」と考えること自体がプレッシャーになることがあります。
パートナーとのコミュニケーションや心理的なアプローチが有効な場合もあります。
若年性EDの治療
原因に応じて治療を選択します。
1.原因・生活習慣への対応
睡眠不足、ストレス、肥満、喫煙など、改善可能な要因があれば対応します。
糖尿病や高血圧などが見つかった場合には、その治療も重要です。
若い年代でも生活習慣の乱れや血管・代謝異常が隠れていることがあります。
→関連記事:勃起力が低下する生活習慣
2.心理的アプローチ
性交への強い不安や緊張が関係する場合には、心理的な要因への対応を行います。
必要に応じて心理・精神科領域との連携を検討することもあります。
3.PDE5阻害薬
ED治療では、
- シルデナフィル
- タダラフィル
- バルデナフィル
などのPDE5阻害薬が使用されます。
若い男性でも、年齢だけを理由に使用できないわけではありません。
持病や服用薬などを確認したうえで医師が判断します。
原因に応じた生活改善や医療治療の選択肢をまとめています。
→関連記事:EDの最新治療
若年性EDでED薬を使う意味
心因性要因が強いEDでも、医師の判断でPDE5阻害薬を使用する場合があります。
薬によって十分な勃起を経験できることで、
性交に成功する
↓
「勃起できる」という自信が戻る
↓
予期不安が軽減する
↓
性交時の緊張が減る
という好循環につながる可能性があります。
ただし、薬だけに依存するのではなく、原因となっている心理・生活要因を同時に確認することが重要です。
ED薬が効かない場合
若年者でもPDE5阻害薬が十分に効かない場合があります。
その場合は、
- 服用時間
- 食事
- 飲酒
- 用量
- 性的刺激
- 使用回数
を確認します。
適切に使用しても効果が不十分であれば、
- 血管
- 糖尿病
- 神経
- ホルモン
- 心理的要因
などを再評価します。
陰茎ボトックスという治療選択
ED治療の選択肢の一つとして、陰茎にボツリヌストキシンを注入する陰茎ボトックスがあります。
陰茎海綿体の平滑筋へ作用させ、陰茎への血液流入を促しやすい状態を目指す治療です。
若年性EDの場合には特に、年齢だけで治療方法を決めるのではなく、
心理的要因が中心なのか
血流の問題があるのか
ED治療薬への反応はどうか
などを確認して治療方法を検討します。

若年性EDは何科を受診する?
若年性EDについては、
泌尿器科
または
男性専門・ED専門クリニック
などで相談できます。
「20代でEDの相談をするのは恥ずかしい」と感じる必要はありません。
問診では、
- いつからEDがあるか
- 朝立ちはあるか
- 自慰では勃起するか
- 中折れするか
- 性欲はあるか
- ストレス
- 睡眠
- 持病
- 服用薬
などを確認します。
必要に応じて血液検査などを行います。
こんな場合は一度相談を
特に、
- ED・中折れを何度も繰り返す
- 数週間~数か月続いている
- 朝立ちも減っている
- 自慰でも硬さが弱くなった
- 性欲も低下した
- EDへの不安で性交を避けている
- パートナーとの関係に影響している
- ED治療薬を使用しても効果が弱い
- 糖尿病や高血圧がある
といった場合には、一度原因を確認することを検討してください。
よくある質問
Q1.20代でもEDになりますか?
はい。EDは中高年だけの問題ではありません。
20代でも心理的要因、睡眠、生活習慣、薬剤、身体的な原因などによって起こることがあります。
Q2.30代で中折れするのはEDですか?
中折れを繰り返し、満足な性交を行うための勃起を維持できない場合にはEDの可能性があります。
Q3.自慰では勃起するのに性交では勃ちません。EDですか?
性交時に十分な勃起を得られない状態が続く場合はEDの可能性があります。
このパターンでは性交への緊張や予期不安などが関係していることがあります。
Q4.朝立ちがあればEDではありませんか?
朝立ちがあっても性交時に十分な勃起を得られない、または維持できない場合はEDの可能性があります。
Q5.一度中折れしただけでもEDですか?
一度だけの失敗でEDと判断する必要はありません。
疲労、飲酒、睡眠不足、緊張などで一時的に勃起しにくくなることがあります。
Q6.若年性EDはストレスが原因ですか?
ストレスは原因の一つですが、すべての若年性EDがストレスによるものではありません。
身体的要因も確認することが重要です。
Q7.若年性EDは自然に治りますか?
一時的なストレスや疲労などが原因の場合には改善する可能性があります。
一方、症状が繰り返す場合には原因を確認した方がよいでしょう。
Q8.若くてもED治療薬を飲めますか?
年齢だけで判断するものではありません。
健康状態や服用薬を確認したうえで医師が適応を判断します。
Q9.ED薬を一度飲んで効かなければ重症ですか?
一度効かなかっただけでは判断できません。
服用時間、食事、飲酒、性的刺激、用量などを確認する必要があります。
Q10.若年性EDは何科へ行けばいいですか?
泌尿器科や男性専門・ED専門クリニックなどで相談できます。
まとめ|若いからEDにならないわけではない
若年性EDとは、一般に20代・30代など若い年代でみられるEDを表す言葉です。
若年者では、
性交への緊張
一度の失敗による予期不安
ストレス
など心理的要因が関係することがあります。
しかし、
睡眠不足
肥満・運動不足
喫煙・飲酒
糖尿病・高血圧
ホルモン
神経
薬剤
などもEDの原因となる可能性があります。
特に、
「若い=心因性ED」
と最初から決めつけないことが重要です。
朝立ち、自慰時の勃起、性欲、中折れの状況などを確認し、症状が繰り返す場合には原因を評価したうえで適切な治療方法を選択します。
監修医プロフィール
雲山 盛秀 医師
MEN’S KIA CLINIC
診療領域
- 男性治療
- 美容外科
- 美容皮膚科
資格・経歴
- 医師
- 脳神経外科領域での診療経験
- 男性治療経験20年以上
- 施術経験2万件以上(全施術累計)
ED、早漏、感度など男性特有の悩みに対し、症状、生活習慣、既往歴、治療歴などを確認し、一人ひとりに合わせた治療方針を提案しています。
参考文献
- 日本性機能学会・日本泌尿器科学会 編.男性性機能障害診療ガイドライン.
- European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Management of Erectile Dysfunction.
- American Urological Association. Erectile Dysfunction: AUA Guideline.
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